美容室って昔から『ヘアショー』ってイベントがあるじゃないですか。
ヘアショーって、時代に合わせてちょっと進化が鈍い気がしてるんです。
(あらかじめ提言しますが、僕はヘアショー『超肯定派』です)
華々しく美容師の技術を見(魅)せるショーっていうのは、
美容ブーム全盛期は大賑わいで良かったですが、
ショー自体の動員を呼ぶのが難しくなってきました。
実際、集まるお客様は各サロンの身内ばかりで、
そのスタッフですら下の子たちに気を使いながら
『美容師なら行っておくべき!』
という曖昧な理由でムリヤリ連れて行かないといけない始末。
本当に『クリエイティブに興味のない美容師』が多いんでしょうか?
どうしたら自然と『ヘアショー行きたい!』っていう美容師が増えるんでしょうか?
■Apple社のマーケティングと技術屋さんの違い
僕の尊敬する偉人の1人に森岡 毅さんという有名なマーケターがいます。
森岡さんは著書の中で、すごくこの『ヘアショー問題』にピッタリな内容があったので、簡単に説明します。
Appleの設立者スティーブ・ジョブズは、
「テキサスのおばさんでも使えるコンピュータを作って世の中の暮らしを変える」
というのを目標にiphoneを作ったそうです。
機械に疎いおばさんが使いやすいように、
たくさんある〝ボタン〟を無くそうという発想から『タッチパネル』が生まれたそうです。
つまり、
『タッチパネルを作りたいから、ボタンを無くした』のではなく
『ボタンを無くしたかったから、タッチパネルを作った』そうです。
それに比べ日本の電機メーカーはかたくなに技術屋さんだったので、
この考え方でシャープやソニーは会社の未来に大きく差が出てしまったんですね。
これって美容師の『ヘアショー』にすごく似てると思いませんか??
■『技術を見せたいからヘアショー』をやる!』ではもう客は来ない
美容室は何のためにヘアショーをするんでしょうか?
1番の目的はおそらく『求人』ではないでしょうか。
その後に、出演するスタッフに対しての『教育』や『ブランド』や『美容師の夢(モチベーション)』など...
技術やショーの演出は、昔とは比べるまでもなく大きく進化しています。
でも実は、この1番の目的である『求人』という事に対してのみ、
『一切内容が進化していない』と僕は思うのです。
それは何故かというと、
人を『楽しませるヘアショー』ではなく、
人に『技術を見せたいショー』になりつつあるから。
今の美容師さんには今の美容師さんの楽しみ方っていうものがあります。
その発想なしにショーをする身内だけが楽しんでいる結果が、今の現状です。
今のヘアショーだったらわざわざ足を運ばなくても、Youtubeの方がよほど楽しめちゃうんです。
(もちろん僕はショーに出演しているクリエイターさん達はすごく尊敬してるからこそ、あえて言いたいのですが...)
どうも美容師の〝技術の凄さ〟が世間に全く伝わってないように感じます。
いまはいろんな情報が簡単に手に入る時代なので、
わざわざヘアショーに足を運ばなくても、スマホの情報だけで満足できちゃうんです。
家でYoutube見る方がよほど楽しめちゃいます。
なのでまずは、その『技術内容』をもっとネット上に公開してお客様に届けないと、
当日の〝ショーで見せる技術の凄さ〟が全く伝わりません。
そして、わざわざ足を運ぶ動機をもっと仕掛けないと、集客がままならないでしょう。
昔のようにショーをみて『美容師ってかっこいい!あんな美容師になりたい!』と感じる前に、
インスタ等のネット情報をみて『かっこいい!』って思う人の方が多くなってます。
それはただ、目にする媒体(機会)が変化しただけなんです。
歌手やアイドルのコンサートLiveだって、
そもそも興味もないのに、わざわざお金と時間を使いたくありませんよね。
■『参加型のイベントショー』を考える
ヘアの技術を一方的に見せるだけのショーではなく、
もっと〝1つのイベントとして〟人が楽しめるショーをマーケティングするべきだと僕は考えます。
イベントでもコンサートでも、見る側が一体となって楽しめる参加型だからこそ、わざわざ行く価値が生まれるものですよね。
特に技術やセンスを見せるヘアショーで考えるなら、
完成形を見るにしてはステージから遠く、肝心の髪型も良く見えない。
だったらヘアショー開催の事前広告として、すべて作り方でも何でもインスタ等で公開しちゃった方が、当日の作品の価値にもっと注目が集まる。
美容師一人の技術の凄さを見せるよりも、
その技術を共有してこその〝参加型〟であるほうが今の時代っぽい。
とにかくこれだけたくさんの人に情報を届ける媒体があるのに、
それを全く活用せず当日の舞台だけで勝負をかける集客は無謀すぎます。
ヘアのショーだけではなく、もっと柔軟に〝イベント〟として集客を考えるべきだと思います。
技術を売る側ではなく、技術を売れるようにする側がマーケティングです。
今こそ、美容師のヘアショー運営もマーケティングを考える時間になってきているのではないでしょうか。
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